シュヴァルの理想宮

「シュヴァルの理想宮」は、フランスに存在する建築物です。

フランス南部の片田舎であるドローム県オートリーブにおいて郵便配達夫であるシュヴァルは田舎の郵便配達夫であり、石工、建築の知識はなんら持ち合わせていませんでした。

徒歩で配達をしながら(当時、車や自転車は存在せず、もっぱら徒歩での移動が主)、時折、配達物の中に見られる絵葉書から、外国に思いを馳せていたそうです。

ある日、シュヴァルは、ソロバン玉が重なったような奇妙な形をした石につまずきました。 ある石に躓いたことが、この壮大な建築物のはじまりでした。

その石から何らかのインスピレーションを得たシュヴァルは、以降、配達の途上石に目をつけ、仕事が終わると石を拾いにいき、自宅の庭先に積み上げるという行為を続けていきます。

何かの為でなく、名声の為でも実力を試したかったからでも、偉業を残したいからでもなく、彼はただ好きなことをしていただけなのです。

その情熱は留まる事を知らず33年もの年月を経て、ついにシュヴァルの理想宮は完成しました。完成したとき、彼は76歳になっていました。

村人達からは変人の所業として白い眼で見られましたが、徐々にマスコミに取り上げられるようになり、見物客が訪れるようになり、現在は、世界各国より、多くの人々が訪れています。

壁面にはフランス語で、

「この岩を造ることによって、私は意志がなにをなしうるかを示そうと思った」

と刻まれています。

「私の意志は、この岩と同じくらい強かった」

「人生は戦いだ」

「この岩は、いつの日か多くのことを語るだろう」

など、いくつものシュヴァルの言葉が、この理想宮の壁面や天井に刻んであるそうです。

そんな「シュヴァルの理想宮」を見に行きたくなりました。